風呂敷の染について
dyeing method
風呂敷の染色方法についてご説明します。
オリジナル風呂敷を記念品や販促品として制作したいと考える法人様の多くは、「どんな染色方法が最適なのか」「納期や価格はどのくらいか」「品質は安心できるのか」といった不安を抱えられます。丸和商業では、京都で長年培った職人の技と最新の加工技術を組み合わせ、法人のお客様に安心してご依頼いただける体制を整えております。手捺染(てなせん)や機械捺染(きかいなせん)をはじめ、反応防染、引き染、インクジェットプリント、昇華転写など、多様な染色方法に対応可能です。それぞれの特長や生地との相性を分かりやすく整理し、用途やご希望に沿った最適な方法をご提案いたします。京都ならではの丁寧なものづくりを通して、安心の納期と適正な価格で、法人様のオリジナル風呂敷制作をお手伝いします。
手捺染(てなせん:ハンドスクリーン)

【特長】
正絹ちりめん、レーヨンちりめん、綿、ポリエステルちりめん、アムンゼンなど大抵の素材に染めることができます。 大抵の色は表現でき、多色刷りも可能です。ただし、裏は染まらないので白くなります。 染め型は1色に付き1枚必要ですので、多色刷りの場合、使う色の数だけ染め型が必要となります。
職人が手で掻いてゆく手捺染。
- 職人の手仕事による多色対応の手捺染
- 職人性による「手仕事」の魅力:職人が版に沿って染料を押し込むため一枚ごとに微妙な差(刷り痕や風合い)が生じる。
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少量〜中ロットで対応しやすい:機械より柔軟に対応可能だが、色数が増えると作業時間とコストが跳ねる。
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準備に時間と版代が必要:版(型)を作る工程や色ごとの合わせが必要で、デザイン確定後も準備に時間を要する。
おすすめ用途(法人向け):風合い重視、色にこだわる小売用商品OEM・ノベルティ向け。
【対応素材】
綿・レーヨン・ポリエステルなど
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大105cm


機械捺染(きかいなせん:オートスクリーン)

特長
綿素材のみ染めることができます。 大抵の色は表現でき、多色刷りも可能です。ただし、裏は染まらないので白くなります。 生産ロットが比較的多い染色方法で、染め型は1色に付き1枚必要ですので、多色刷りの場合、使う色の数だけ染め型が必要となります。
機械が掻いてゆく機械捺染。
- 機械による大量プリントで、コスト効率を重視した企画向け。
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自動化により単価を下げられ、安定した品質で大量ロットをこなせる。
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品質の均一性が高い:職人差が入りにくく、同一ロット内での仕上がりブレが少ない。
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多色刷りも可能:色数が増えると版・工程は増えるが、機械対応で量産時の効率は高い。
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手捺染同様版を作るため、小ロットでは割高感が出る場合がある。
おすすめ用途(法人向け):大量配布の販促品・店舗ノベルティ、大量OEM。
【対応素材】
綿
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大150cm(※ご相談ください)


反応防染(防染技法:糊置きなど)

【特長】
綿素材を1色で染め、裏まで染まる染色方法です。染料と繊維が反応して色素が固着する反応染料を使用します。 反応染料を混ぜ合わせることで、大抵の色は表現できます。 また顔料プリントを加えることにより、2・3色の多色刷りも可能です。 生産ロットが比較的多い染色方法で、染め型の枚数は1枚(但し顔料オーバープリント分は別途)となります。-
裏面までしっかり染まる、昔ながらの本染め技法を使用。
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伝統的で上品な仕上がり:和柄や伝統柄の再現に向き、高付加価値のギフトに適する。
おすすめ用途(法人向け):見た目・質感ともに格調高く、記念品や贈答用途におすすめ。晋山記念品等。
【対応素材】
綿
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大130cm(※ご相談ください)


引き染(ひきぞめ:刷毛染め)

【特長】
引き染めは、職人が生地の上でハケを引いて染める技法で、おもに家紋を白く染めぬく儀式用風呂敷に使われる染色方法です。 正絹ちりめん、ポリエステル、麻、綿を染めることが可能ですが、あまり細かい線や模様には向きません。-
グラデーション・ぼかし表現が得意:刷毛や手法で自然な色の流れ・ぼかしを表現でき、和の美しさを演出。
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一点一点に個性が出る(ハンドメイド性):同じデザインでも微妙に表情が変わり、限定品向けの価値になる。
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繊細な素材(絹など)で特に効果的:絹の光沢と相まって色の重なりが美しく出る。
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再現性が低く大量生産に不向き:均一性を求める大量ロットには適さない。
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職人の技術依存度が高い:高度な熟練が必要なため、納期・人手確保の問題が生じやすい。
おすすめ用途(法人向け):白山紬等の紋入れ風呂敷、店舗用暖簾、神社やお寺の幕や幟。
【対応素材】
絹・綿・ポリエステル
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大105cm(※ご相談ください)
インクジェットプリント(ダイレクト・トゥ・ファブリック)
【特長】
データからプリントする手法で、イラストや写真など、自由なデザインによる風呂敷製作が可能です。 主にポリエステル素材の生地にフルカラーで染めることが多く、別加工すれば綿素材も染めることができます。 データからのプリントですので染め型は不要ですが、データ処理費用が別途必要となります。
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高解像度・写真やイラストなど、細かいデザインも忠実に再現可能。
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版不要で多色の場合は初期コストが低い:少量ロットや試作、色替えが多い場合に経済的。
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綿は反応染料で仕上げる場合、事前処理や後処理(定着)が必要になることがある。
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染料と顔料の別で定着具合で肌触りや堅牢度に差が出るので仕様確認が重要。
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プリンター幅の制約と枚単価の一定性:機械の印刷幅で対応可能な生地巾が決まり、大量時はスクリーンより割高になる場合も。
おすすめ用途(法人向け):小ロット・写真や複雑なデザインの多色で自由な表現を求める販促・記念品に最適。試作にも。
【対応素材】
ポリエステル・綿
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大150cm(※ご相談ください)

昇華転写(しょうかてんしゃ)

【特長】
染料を印刷した転写紙とポリエステル生地を合わせて熱プレスしてプリントする捺染方法です。多色で複雑なデザインを布に表現できます。
転写紙の版式はグラビア、無製版のインクジェットがあり、お客様のご要望により最適の加工方法を選択いたします。
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発色・耐久性が非常に高い(合成繊維向け):染料が気化して繊維に定着するため、色落ちやひび割れが起きにくい。
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ポリエステル系に限定される制約:天然繊維ではほぼ利用不可、素材の選定が限定される。
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白色は印刷できない:生地地色が白でないと白部分を表現できない(デザイン時の注意点)。
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大量生産でコスト効率が良いケースが多い:大きいロットで耐久性を重視する販促に適する。
おすすめ用途(法人向け):販促物・イベント配布物、スポーツ・屋外利用を想定するノベルティ。
【対応素材】
ポリエステル
【染色できる生地巾(サイズ)】
最大150cm(※ご相談ください)

注釈(用語解説)
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型(スクリーン/版):スクリーン捺染で使用する版のこと。色ごとに版が必要。
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型代:型を作る費用。色数に比例して増えるため、小ロットでは負担が大きくなる。
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定着(ていちゃく):染料・インクを生地に定着させる工程(蒸しや熱処理など)。仕上がりの耐久性に直結。
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反応染料:主に綿に用いる染料の一種で、繊維と化学的に結合して耐久性の高い染色が可能。
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顔料 / 染料:顔料は繊維表面に付着する方式、染料は繊維に浸透する方式。用途・素材で選ぶ。
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昇華:固体→気体になった染料が繊維に入り定着する仕組み。主にポリエステル向け。
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転写紙:昇華や転写で使う一時的な紙。デザインを印刷してから加熱で布に移す。
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ロット:発注数量。各加工法で「最小ロット」「コストが変わる分岐点」が異なる。
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色校正(色見本):最終生産前に色や仕上がりを確認するためのサンプル。本生産とは加工方法が違ったり(本機を使わない等)、染料を作る量が違うので、多少の色ブレガ起こることがありる。
「染色できる生地巾」「納期」「価格目安」比較表(法人向け)
染色方法 | 主な対応素材 | 生地巾の目安* | 納期目安 | ロット |
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手捺染 | 綿・レーヨン・ポリエステル・絹 | 約70〜100cm | 4〜6週間 | 中ロット向き |
機械捺染 | 綿 | 約80〜110cm | 4〜8週間 | 中〜大ロット向き、コストダウン可 |
反応防染 | 綿 | 約70〜130cm | 4〜6週間 | 中ロット向き |
引き染 | 綿・絹・ポリエステル | 約70〜90cm | 4〜6週間 | 量産は不向き |
インクジェットプリント | 綿・ポリエステル | 約70〜110cm | 4〜6週間 | 小ロットOK、写真・多色柄に適す |
昇華転写 | ポリエステル | 約90〜150cm | 4〜6週間 | 大ロット向き |
※納期の目安は、色校正等のサンプル確認のやり取りに掛かる時間を含んでいません。あくまで加工のみに要する期間。 |